コラム

【栄養 vol.4】脂質は悪者ではない?身体に良い脂質とは

2024年7月25日

脂質

脂質は、糖質、たんぱく質と並ぶ三大栄養素(エネルギー産生栄養素)の一つであり、1gあたり約9kcalのエネルギーと、糖質やたんぱく質の約2倍のエネルギーを持っています。体内では、細胞膜やホルモンの構成材料としての役割や、体温の保持や内臓を守る役割、また脂溶性ビタミンの吸収促進といった働きをする栄養素です。
不足しないように摂取していきたい栄養素ですが、現代の食欲生活では不足よりも摂りすぎに注意が必要な栄養素となります。


[脂質を多く含む主な食品]

脂質を見極めるには「脂肪酸」の種類に着目しよう!

脂肪酸とは、脂質の主な構成成分であり、炭素の数や二重結合の数、その位置によって分類されています。

飽和脂肪酸:炭素と炭素の間に二重結合がまったくない(飽和している)脂肪酸。常温では個体の状態で、過剰摂取では血液中のLDLコレステロールが増加し、その結果、循環器疾患のリスクを増加させることが示されています。主に肉類やバター、ラードなどの動物性食品、ココナッツオイルなどに多く含まれます。

不飽和脂肪酸:炭素と炭素の間に二重結合がある脂肪酸。常温で液体の状態で、主に植物油に多く含まれます。不飽和脂肪酸はさらに、体内で合成可能な一価不飽和脂肪酸と、体内で合成できない多価不飽和脂肪酸に分類されます。また、体内では合成できない、できたとしても少量であるため食品から摂取しなければいけない「必須脂肪酸」にはリノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸があります。



[脂肪酸の種類]

ランナーn-3系脂肪酸を積極的に摂ろう!

n-3系脂肪酸には、魚(特に青魚)の油に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)、あまに油やえごま油に多く含まれるα-リノレン酸があります。これらはアレルギー疾患の予防や血栓予防、動脈硬化や脳梗塞などの予防などの効果が期待できる食品で、健康の維持・増進に役立つ脂質であると言われています。特にEPA・DHAは近年アスリートのパフォーマンスアップに貢献できる脂質として注目を集めています。

EPA・DHAは抗酸化作用によって運動で引き起こされた酸化ストレスの軽減や、筋疲労の回復、持久力向上などの多くの効果が期待できますので、日々練習を重ねるランナーは魚などの魚介類を積極的に摂れる良いですね。魚などの魚介類は、できれば1日1度、難しい場合は2〜3日に1度取り入れたいところですが、なかなか難しいと感じる方も多いと思います。その際はツナ缶やサバ缶などの缶詰を活用するのもおすすめです。今の食事にプラスするのではなく、肉など他の主菜の代わりとして魚を取り入れるとたんぱく質の過剰摂取を防ぐことに繋がります。

n-3系脂肪酸は、含まれる食品が限られているため、意識をして摂取しないと不足が懸念される脂肪酸です。全体の脂質の量とのバランスをとりながら毎日の食事に取り入れていきましょう!

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