コラム

【栄養 vol.3】質の良いタンパク質とは

2024年7月11日
【栄養 vol.3】質の良いタンパク質とは

筋肉は絶え間なく作り変えられ続けている

筋肉や骨、血液、臓器、皮膚など、私たちの体を構成する様々な組織はたんぱく質を材料に作られており、また組織の種類によって作り変えられるペースは異なります。例えば、筋肉は約半年でその組織の半分が壊され(分解)、そして合成されます(再合成)。この「分解」と「再合成」のサイクルは体内で絶え間なく続いているため、再合成の材料となるたんぱく質やその他の必要な栄養素を3食の食事で摂取しなければなりません。

良質なたんぱく質とは

たんぱく質は多数のアミノ酸が結合して構造されており、1gあたり4kcalのエネルギーをもっています。アミノ酸は全部で20種類あり、そのうち、体内で合成されない・合成されても必要量に満たないため日々の食事からの摂取が求められるものが「必須アミノ酸」、体内で十分合成されるものが「非必須アミノ酸」です。食品中のたんぱく質の量や、必須アミノ酸のバランスを数値で表したものを「アミノ酸スコア」と言い、アミノ酸スコアが100に近い食品が「良質なたんぱく質」であると言えます。アミノ酸スコアは一般的に肉や魚、卵などの動物性食品や大豆製品で高くなり、植物性食品では低くなります。

〈アミノ酸スコア〉※画像:ハイパフォーマンススポーツセンター HP



アミノ酸スコアを桶に例えて考えてみましょう。何枚かの板で出来た桶に水を溜める場合、1枚でも背の低い板があると、そこから水が流れ出て1番背の低い板の高さまでしか水は溜まりません。アミノ酸スコアも同じように、アミノ酸スコアは1番少ない必須アミノ酸に合わせて低くなり、体内のたんぱく質の利用に使われにくくなります。ただ、アミノ酸スコアは食品単体の評価であるため、アミノ酸スコアが低い食品であっても、他の食品と一緒にとることでアミノ酸スコアを改善することができます。1食の食事の中で複数の食品を組み合わせて食べることが、食事全体のアミノ酸スコアを高めていくポイントです。

パフォーマンスアップの鍵は分岐鎖アミノ酸!?

必須アミノ酸のうち「バリン・ロイシン・イソロイシン」は分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、ランニングなどの持久系運動では特に重要なアミノ酸です。分岐鎖アミノ酸は、筋肉を構成する必須アミノ酸のうち30〜40%を占めると言われており、運動時の筋肉を動かすエネルギー源になったり、筋タンパク質の分解を抑制する役割があります。また、分岐鎖アミノ酸には運動時に増加すると言われている乳酸の血中濃度の上昇を抑制する効果も期待できますので、ポイント練習や距離走の前の摂取もおすすめ!分岐鎖アミノ酸は動物性食品に多く含まれますが、食品での摂取は消化・吸収まで時間がかかってしまいますので、運動前の摂取には顆粒タイプのサプリメントやスポーツドリンクを活用するのも良いですね。

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